3 あごの退化と咬むことの効用


人類の食文化は、食肉の導入、火の使用、道具の発達により発達しましたが、その結果あご
は退化し、頭蓋に対し顔の縮小変化が起きてきています(図5)。

図5 頭蓋の比較



ヒトの進化は約二千万年前、チンパンジーと分かれて以来、ヒトは道具を使い、火を使うという
他の動物とは違った食物の摂り方をしてきました。このことはヒトの進化の中でもっとも大きな
影響を与えた事のひとつと言われています。約四百万年前の猿人の頃には肉を食べ るように
なり、栄養を以前より楽に摂ることが出来るようになった。そして、火を使い食べやすく調理す
ることで取った物を短時間で消化できる様になった。顎の骨というのは手や足の骨の様に運動
することによって、筋肉は太くなりそれによって動かされる骨も太くなるのです。ですから、逆に
短時間に食物を消化できるようになってきたということは、上の図を見てもお解かりのように、
進化するにつれ頭に対しての顎の割合が小さくなるということです。勿論、三百万年前に二足
歩行するようになって、頭のバランスをとれる様に後頭部が発達したこともこの割合を小さくし
ている要因といえますが、ヒトの進化は脳の発達と顎の縮小化が起きるべくして起きていること
なのかも しれないのですが、こららの変化は、何百万年あるいは、何十万年という長い年月の
間に起きてきた変化なのです。近年のファーストフードに代表される食物は栄養補給だけを目
的とし、咀嚼というものを無視した為、顎の縮小化が急激に進み、この後にご説明する“かむこ
との効用”が得られなくなってきているのです。また、歯の大きさも小さくなっているといわれて
おりますが、近年の急激な食事時間の短縮による顎の縮小化には追いつかないようです。こ
のような理由 から現代の子供さんに歯並びの悪い方が多いのがご理解いただけると思いま
す。
現代食の咀嚼回数及び食事時間は620回で11分。実にこれは弥生時代の1/6にあたり、さ
らに驚くことに昭和10年頃の約1/2ということです。(表2)たった60年もの間での変化として
は人類学上からも、異常なことで、それを考えると顎に起きてきている変化がまわりの骨や歯
との間に差が出てくるのも当然のことと言えます。

表2





なぜこのようになったかは想像つくところですが、噛むことがなぜ大切か?
                   

                       咬むことの効用

        1 食物が粉砕され、消化吸収を助け、本当の美味しさが分かります
        2 歯やあごがしっかり成長し、顔のバランスが良くなります
        3 唾液がたくさんでることにより、虫歯や歯周病を予防します
        4 筋肉の発達により、姿勢が良くなり、運動能力が高まります
        5 頭の血の流れがよくなり、頭の働きが良くなります
        6 神経を刺激し心が安定し、情緒が豊かになります
        7 表情筋を発達させ、表情が豊かになります
        8 唾液腺ホルモン(パロチン)により老化の防止になります
        9 脳を刺激し脳の発育を促し、頭が良くなります




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